-第五話-【クラフトビールを求めて】 シドニーで過ごしたビールのある生活(後編)

シドニー

シドニーで過ごしたビールのある生活の五話目後編。
ブルワリーホッピングと僕自身のワーキングホリデーでの日々のエッセイ。

シドニーから離れてニューカッスルへ訪れたときの話の後編。


前編から一週間。
日本ではパンデミックの警戒ムードの終焉が見えませんね
でも、それぞれが新しい生活様式で過ごすことに違和感を覚えなくなってきているかな。

先週のブログで書いた通り、僕はと言えば相も変わらず断酒中ですのでビールは飲めませんが、
ビール以外に没頭できるものが欲しいと思い、以前から手を出すまいと思っていたフィルムカメラをついに買ってしまいました。

ビールのある生活からビールとカメラのある生活ということでブログを書いていこうかな。

もはやビール以外のトピックも多くなってきていますが、幅広い雑記ブログかつ、
誰かの役に立つ情報を少しづつ書き留めていければと思う次第です。

好きなことをして生きていきましょうよ。

楽しく生きたもん勝ちでしょう。



05-2



New Castle : Day 02




1日目は移動が多くて結構歩いたのでいい疲労感で休むことができた。

2日目の朝は早い。夜明け、朝陽がのぼってくるのは6時前、5時半には起床。サービス業で夜遅くまで働くことが多かったので、早起きのリズムができていない僕らには少ししんどかった朝。


しかしこの日を逃したら次のチャンスは一生来ないかもしれないという思いからかこの日は目が覚めた。それだけ思いが強かったようです。自分でも意外なんですが。


無事に起床したので、準備を整え早速ビーチへと向かう。



ホテルを出るとまだ辺りは真っ暗
暗闇から徐々に夜が明ける




東の空が明るんでくる。徐々に明るくなってきてある事に気が付く。

あれ、水平線に雲が… 


時間は刻一刻と過ぎていく。

気が付けばあれよあれよと太陽は登っていく。

光がさしてくると太陽が雲の隙間から顔をのぞかせてギラギラと輝いている。

ここで予感的中。
水平線から登ってくる日の出は雲で隠れてしまい、雲の隙間から顔を出した太陽は、すでに水平線からは大分上っているではありませんか。

少し拍子抜けしましたが、それでも早朝のギラギラと黄金色に輝く太陽は今でも頭に焼き付いている。

手に持っていた旧式のデジタル一眼で必死にシャッターを切った。



雲の隙間から顔を出す太陽
すっかり陽が昇り朝の太陽へと輝きを変える




地獄の黙示録で見たような東南アジアの蜃気楼のように歪みこうこうと輝く太陽だった。

ただただ太陽を眺めながら朝陽が昇る数十分をビーチで過ごす。

散歩している人、波打ち際を歩くカモメ、あとはテレビ中継のカメラも入っていたみたい。

何てことない瞬間なのだけど、一生忘れる事のない数十分。少し面倒でしんどいな、なんて思ってましたが早起きして来たかいがあったってもんです。

朝陽を眺めてから、少し靄が出てきたのでそのままノビーズビーチの先端まで歩く。


朝陽を眺め、贅沢な時間を過ごすカモメ
Kマートで購入した頼りないビーチサンダル




灯台と防波堤があり、一番端まで歩く。

どうやらここの防波堤はここに住んでいる人たちの散歩・ランニングコースの様で、朝早いのにたくさんの人が行きかう。こんな場所で散歩やランニングを毎朝できたら心地いいだろうな。

早起きができないので朝散歩はできないんですが、そういうライフスタイルをしている人を見るとあこがれちゃいます。潮風なのでちょっとべたつくのが唯一の難点か?



長い防波堤
早朝からジョギングする人で行き交う




長い防波堤を戻り、灯台のふもとを通り抜けホテルの方へ戻っていく。
そしてそのままホテルを通り越しノビーズビーチの少し南にあるニューカッスルビーチへ。

ビーチの浜の砂が白く、理想的なビーチの色合い。

青い空に白いビーチ、綺麗な海、そりゃみんな集まってきますね。

オーストラリアのビーチの砂は素晴らしいようで、香港島のRepulse bayのビーチにも使われているんだとか。どうやって香港まで運んだのでしょうか、船でしかないと思いますがどれだけの労力とコストがかかったんだろう、想像するだけでとんでもないなと。

わざわざホテルを通り越してこちら側のビーチまで来たのはモーニングを食べるため、徒歩圏内にビーチを観ながら過ごせるCafeがあるんです。

ニューカッスルいい街でしょう。


防波堤を戻る、すっかり朝になり気持ちがいい。
これぞオーストラリアのビーチ。




早速カフェラテアイスとバナナパンケーキを。

バナナパンケーキを外で食べることなんて普段ないんですが、ここのは美味しかった。

特別手が込んでいる感じではないんですがね、焼いたバナナとメープルシロップに粉糖。
シンプルこそ一番なのかもしれませんね。本当に美味しかったんで、渡豪中最後のロックダウンの最中には近所のウーリー(woolworthというスーパー)でパンケーキミックスを買って、家でパンケーキを良く焼いて食べたものです。


パンケーキのみのシンプルなプレート
ビーチを望むカフェ。




休みは短い、シドニーまで3時間という事もあり、モーニングを済ませたらホテルをチェックアウトしニューカッスルを経つことに。

それでもニューカッスルの駅に向かう途中、せっかくだからということで駅に行く間に立ち寄れる場所に少しだけ立ち寄ってから帰る事にする。


見つけたレストランも資料博物館もニューカッスル駅へ向かうライトレール沿いにあるんです。
本当に移動が楽でありがたい限り。



ライトレールの終点、NEWCASTLE。
Queens wharfの停留所前にはSignal Boxというレストラン




最初に立ち寄ったのはSignal Box NewCastleというレストラン。

ライトレール終点のNew Castleから手前に一つきた駅 Queens Wharf の駅の正面にあります。

ここもまたレンガ造りで、奥のテーブル席はオープンなガラス張り。外にはテラス席と噴水があり、螺旋階段で屋上にも上がれる。そんなに大きな都市ではないニューカッスルでもこんなに洒落て心地のいいカフェがあるんだから素晴らしい。1ヶ月でいいからニューカッスルで暮らしてみたい。

旅をしていると、ここは住み心地が良さそうだな、とか、ここは僕には合わないだろう。というのが、なんとなく感じ取れる。

人生一度きり、30歳になるまで長野県から出て暮らしたことがなかった僕は出張でこそ色々な場所へ足を運ばせていただきましたが、旅をするようになって、そして実際にフィリピンやシドニーで暮らして、改めてもう少しいろんな場所で生活してみたいと思う様になりました。

今でも旅するごとにここよさそうだな、とかどうしても考えちゃいますよ。


モーニングでバナナパンケーキを頂いていたのでここではドリンクをオーダー。

いつもだったら間違いなくカフェラテを頂くところですが、メニューに見慣れないものが。

モルトのシェイク。

ビール好きとしてはモルトという文字を見つけると反射的に何だろうとみてしまう。
聞いてみるとなんでもモルトのシロップを使っているとのことで、どこにでもありそうなんだけど見かけたことないな、と思いシェイクを頂くことにしました。
きな粉のようなベージュの色合い。

飲んでみると確かにモルトの香りがある、そして思った以上にしっかり甘いが美味い。アフォガードのようにエスプレッソをかけても美味いだろう。

今もあるのかとメニューをウェブでチェックしてみたら、残念なことに今はメニューから姿を消していた。


美味かったモルトシェイクはきな粉のようなベージュカラー。
ひときわ目立つユニークな建物。




一息ついたところで、次の目的地博物館へと移動をする。今度はCivicというもう一つ手前の駅の正面にあるニューカッスルの資料博物館。

まったく知らない街で博物館に入ってみるのは非常に興味深い体験です。


予備知識ゼロ、この街の歴史を全く知らない状態で入るからすべての資料が新鮮に映ります。
炭鉱で栄えたのか、当時の炭鉱での生活についての資料が多く見れました。

日本のそれとは違い、歴史自体がここ数百年の内容なので結構近代的。オーストラリア全土の歴史と共通するところがあるんだろう。

ここに立ち寄らなければ、オーストラリアの歴史について考える機会はあまりなかったかもしれない。
知らない土地で暮らすとき、その土地の歴史を理解するというのは必要なことかもしれませんね。
文化は歴史の中で形ができていくもの、歴史を理解することでニュースや会話の中でふとした瞬間に腑に落ちることがあるかもしれません。

いずれにしてもちょっと立ち寄っただけでしたが、ここに足を運んでよかった。


博物館の前にはインパクトのあるブルーが目立つベンチが。
Civicの乗り場





New Castle から Manly へ

さよならNewcastle、また会おう





さて、いよいよシドニーへ向けてニューカッスルを発つ。再び3時間の電車旅。

シドニーへ早く戻るのにはもう一つ理由がありました。
前日にKマートで水着を買いましたがまだ海に入っていない。
ニューカッスルで入るのは諦めてシドニーでビーチへ行くことに決めたんです。
そのため午後の早い時間にはノースシドニーにあるManly(マンリー)へ行きたかった。


3時間の電車は前日と同じ景色を眺めながらゆったりと過ごす。

なぜかわからないんだけど、この時僕が聴いていたのはカーペンターズのベスト。ゆったり少し眠りながらやさしい歌が聴きたかったのか、今でもカーペンターズを聴くとあの電車で眺めていた景色が目に浮かぶ。旅と音楽の相性ってとてもいい、音楽がそこで過ごした時間の引き出しになります。あの時、この曲聴きながらあんなことしてたっけ、と。



シドニー近郊まで来ると、一回乗り換えノースシドニーへ向かう路線で無事にマンリーへ到着。

そこからさらにバスに乗り込みマンリービーチから少し離れたシェリービーチへ行く。
丘の上の住宅街へどんどんと登っていくバス。あれ間違えた?と少し不安になりました。
丘の上で下車し、反対側を歩いて下っていく。
するとビーチが眼下に広がり、安心するとともに結構歩くね、とやや疲れを感じながらも歩みを進めると、海岸線へ突き当たる。左手にはマンリービーチ、右手には窪んで見えませんがシェリービーチがある。

あとは海岸線に沿って歩くだけ。水着姿の人とすれ違うと徐々にビーチが視界に入り込んできて気持ちが高揚してくる。海岸線にそった歩道を数分歩くと無事に到着。

この日は少し風もあり波もやや強く、綺麗で透き通るビーチというわけにはいかなかったんですが、それでも綺麗。

丘の上から見たマンリーもこちらのシェリーも夏真っ盛りというわけで多くの人が楽しんでいました。僕が驚いたのはパワフルなおじいちゃんとおばあちゃんがたくさんいたこと。果敢に強い波の中を泳いでいましたから、若者顔負け。孫と祖父母でビーチを楽しんでいるファミリーは平和な時間を周りにもシェアしてくれます。僕らも小一時間ほど波にもまれながら泳ぎ楽しんだのでビーチを後にすることに。

よく覚えていないんですが、たしか海岸線の歩道沿いに公衆の着替え場所のような小さな建物があって、そこで着替えたんだったかな。

さすがビーチ大好きな国とだけあってとてもフレンドリーな設計になっておりました。


丘の上から望むマンリーにはたくさんの人が
シェリービーチから




僕らが住んでいた場所はシドニー空港方面なのでマンリーからフェリーでオペラハウスのあるサーキュラーキーへ向かい、そこから電車で帰る事に。

シェリービーチからは徒歩でマンリービーチを通りマンリーワーフのフェリー乗り場へと向かいました。


ビアギークである僕はもちろんビールを飲める場所があるか下調べをしましたよ。

実はここマンリーはオーストラリアを代表するブルワリー4Pines beer の誕生の地でありホームなんです。

そして、玄関口にしっかりとタップルーム Brewpub manly を構えている。
そこではkeller doorという名前でパイロット設備があるタップルームで、スモールバッチブリュー(小ロットでよりマニアックなビールやリミテッド銘柄の醸造)をやっていて、ここでしか飲めない銘柄なんかも飲めたんですよね。実際に彼らのリミテッドシリーズも当時はkeller doorというシリーズで販売されてました。


タップの前でオーダー、その場で注いでくれます
こちらは1Fの席、いい感じに陽が射しこんでいます。




ちょうどタップルームに着くころには陽が沈み始めて西日がとてもきれいにタップルームへ射しこんできました。
いわゆるゴールデンアワーやマジックアワーと言われる一日の中でも一番光が幻想的で美しい時間です。


この日のハッピーアワーのメニューはマッスル。

マッスルってなんですか?って思いましたが、聞いてみるとムール貝の事でした。

ムール貝のビール蒸し。 

そしてビールはここまできたからには定番ではなくkeller doorでしか飲めないリミテッドを。

この日のリミテッドの passionfuit gose (パッションフルーツゴーゼ) と ezpz lemon squeezee(イージーピージーレモンスクィージー) を。後者はいかにもオージーなネーミング。人を呼ぶ時とかも語尾をイーで伸ばしたがるんですよね。例えば、ムーンという名前の方はムーニー、マットはマティ(これは普通ですね)なんて呼ばれていました。


これがマッスル、パンに出汁をつけながら食べるのもたまらない。
4pinesのロゴ、文字がなくとも一目瞭然なロゴ、右がゴーゼ




それにしても、泳いで乾いた体にはムール貝から溢れ出るウマミとゴーゼのミネラルで柔らかいボディと刺激のある酸味が染み渡る。

ビーチに行き、帰りに一杯ひっかけて帰る。
僕にとってはとても幸せを感じる時間の過ごし方。

夏の間、そんな暮らしができるからオーストラリアでの生活に魅力を感じるんでしょう。
国の中で一番大きな都市にでさえフェリーで数十分乗った場所に夢のような時間を過ごせる場所があるんだから。


ビールを飲みに来ている人々の喧騒、窓辺から射しこむ西日、美味いビール。

旅のクライマックスにふさわしい時間の過ごし方。
思い返せばわずか1時間程度の時間かもしれないが、思い返せばいつでも生きる活力を与えてくれる思い出だ。


今はもどりつつあるパンデミック前の懐かしい光景
keller door 全貌




陽が沈んでいく。タップルームを後にし、道を挟んで向かいにあるフェリー乗り場へ。

フェリー乗り場横にもレストランがあるんですが、満席でどこからも笑い声が聞こえてきて活気しかない。
パンデミック前のちょっと懐かしい景色でもある。

さようならマンリー。

無事にフェリーにのり見慣れたシドニーの街へと向かう。


Manly wharf の夕陽
レストランは満席でウェイターも客も活気にあふれている




すっかり陽が沈んでいったのとほろ酔いでいい気分になっていたので、フェリーでの記憶はあまりないんですが、衝撃的だったのは若者の酔っぱらった兄ちゃんたちが、フェリーの甲板から誰も見ていないのを確認するとその中の一人が海に向け小便を放ち始めた。

僕は2階から外を眺めていたので、1階で兄ちゃんたちが騒いでるのがよく見えていたんですが、向こうは全く僕の存在に気づいてない様子。

おいおいと思いながら、僕は船の中へと戻った。


そうこうしているうちにすっかり辺りは暗くなり、遠くにライトアップされたオペラハウスとウェストフィールドのタワーが見えてきた。

帰ってきましたよ、と少し安堵する。

海外でも見慣れた景色の場所はやはり安心感がある。

ISO感度の低い僕の一眼では夜景をブレなしで撮影することは至難の業、三脚がないのでどうしようもなかったんですが、それでもシャッターを切る。

ブレブレの写真がよくその状況を物語っています。


夜景は三脚あっても船上からではブレるんだろうな
シドニーの中心街を遠くから。ホッとした瞬間。




終点のサーキュラーキーでフェリーから降り、ニュータウンへと。

旅の〆はニュータウンにあるタイ料理店 Thai Pothong Restaurantで。

前から気になっていた店、このタイミングで入るとは思っていませんでしたが、人気店ということもあり味わうことができて本当に良かった。美味いグリーンカレーと丁寧なテーブルサービスに満足し、いつものバスにのって我が家へと帰る。

一泊二日のニューカッスルへの旅。思い付きで行った旅にしてはあまりにも記憶に焼き付く素晴らしい経験ができた2日間でした。今思い返しても人生に影響を与えてくれた旅の一つ。

いつかまた、ニューカッスルを訪れる日を想いながら今日を生きていく。

第五話、ニューカッスル旅行記はここまで。



ブログで紹介した場所の周辺地図

4 Pines Beer – Brewpub Manly (Keller Door)

Signal Box Newcastle Restaurant

Shelly Beach – Manly, New South Wales



ワーキングホリデーで過ごしたシドニーでビールのあるの生活のエッセイ。
バックナンバーは下記リンクからどうぞ。

第五話:Newcastle旅行記(前編)- The Grain Store

第四話:BEER FEST. AUSTRALIA 2019 at SYDNEY

第三話:The Grifter Brewing

第二話:Rocks Brewing Co.

第一話:ONE DROP BREWING Co.


YouTubeではオーストラリアのビールやブルワリーの紹介もしておりますよ。

ブルワリー散歩 in SYDNEY

オーストラリア直輸入!ビールの紹介NSW州

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