-第一話-【クラフトビールを求めて】シドニーで過ごしたビールのある生活

シドニー
はじめに


どうもYASINSKIです。
旅がなかなかできない日々が続いておりもどかしいですね。

海外に出るのが難しい時だからこそ、以前の旅や海外での生活の記録を振り返ってみようかなと思い、
2019年11月から2020年4月まで滞在していたオーストラリアのシドニーでのブルワリー巡りを何回かに分けて記事にして書き留めておこうと思います。

ここでの記事はいつもの情報発信ブログという形式ではなく、
個人的な記憶の回想
その時の感情や思考、風景、環境を残す形式にしていきます。

このブログをきっかけにブルワリーやビールの情報を知りたくなって頂ければ嬉しいです。

その時はそれぞれに検索してみてください。
もしくは私のYouTubeやInstagramでも幅広くビールの情報を発信しているのでそちらもどうぞ。

いつか、このCOVID-19のパンデミックが終息し再び世界へと旅ができる日々がきて、
ブルワリー巡りをしようと考えるきっかけ、そして実際にホッピングする時の役に立てば幸いです。

滞在期間中に訪れたブルワリーについて自由に書いていこうと思います。
まずは ONE DROP BREWING というBotany地区にあるブルワリーから話を始めていきましょう。




01



ONE DROP BREWING Co.







シドニーに降り立ってから4カ月、振り返ると滞在の終盤も終盤である2020年3月初旬、仕事が休みの火曜日の昼下がりに – 記憶が正しければ仕事の休みは毎週月火休みだった。その日は少し足をのばし普段は訪れることのない地区のブルワリーへと向かうことに。

ちょうどこの頃、シドニーでの生活にようやく慣れてこれからについて色々と考えを巡らせていて、現地のリアルタイムでの生活やローカルのブルワリーやボトルショップの様子なんかを発信していこうかなともぼんやりと頭の中で考えていた。
同時に世界ではパンデミック直前で武漢の状況に関するニュースがなんとなく注目を集め始めていたが、もちろんあの時はその数週間後にロックダウンをしなければならなくなるとは想像もせず気にも留めていなかった。

その年 – 2020年の出だしはというと、1月と2月はそれぞれ数日間ずつ急遽日本に帰国しなければならなくなり、帰国しては渡豪を繰り返したので、3月に入りようやく生活に落ち着きを取り戻したところだった。


思い返してみれば、ちょっと面倒だな、と思いながらもバスを何か所も乗り継いで少し離れた地区に行ってみたのはこの日にしかできないことだったかもしれないな、といい決断をしたと今では思っている。

重い腰を上げ、まず行動してみないと何も始まらないだろうなと思い、ついにYouTubeの撮影をしてみようとその日はミラーレスの Nikon – 1 J5 を片手にバスに乗り込む。

どんなルートで行ったのか、記憶をたどってみても皆目思い出せないのだけど、当時住んでいたSt.Peters地区から醸造所のあるBotany地区はシドニーの空の玄関口 – キングスフォード・スミス空港 (シドニー国際空港)を囲む地域で前者は北に、後者は東に位置している地域だ。
車やUberを使えばおそらくそんなに遠い距離ではない – というか結構近いのだが、電車が通っておらず、唯一の移動手段はバスだった。
醸造所のかなり近くまでバスが出ているには出ているのだが、住んでいる場所からは遠回りしながら数回の乗り継ぎが必要だった。

バスは通勤で時々利用していたこともあり、シドニーのバス事情はオーストラリアの主要都市ながら大抵”混んでいる”とはかけ離れた状態だったので、ゆったり座って景色を楽しみながらいけるだろう、なんて油断していたら乗り換えした場所で近隣の学校から子供たちの下校ラッシュ。
いわゆる郊外地域で珍しく座る場所がないくらい混んでいたのに驚き – 少し憂鬱になりながら、住宅街の様子や子供たちの様子をまだ旅行者の気分で眺めていた。
閑静な住宅街を抜けていくと、Botanyのメインストリートに通りかかり、”Trip View Lite” – 乗換アプリ の案内通りに停留所、とくに変わったところはない普通の停留所で下車。支払いはOpalカードという日本でいうSuicaを使う。








初めて降りる場所、ものすごく普通の通りで何があるわけでもないのにどんな建物があって、どんな店が、どんな人が暮らしているのか気になって辺りを見回してしまう。
その割に何があったのかあまり覚えていないから記憶というものは曖昧だなと思う。

あたりを見回してポケットからiPhoneを手に取り地図を確認し歩き出す。Google Map上では徒歩で5分くらいの位置にあるらしい。どんな場所なんだろうなと足取りは軽いのだけれども、数分歩くとちょっと不安になる。

何もない住宅街、破れているフェンス、廃車置き場、日本なら確実に切符を切られる路上に駐車している数々の車、本当にここであってますかiPhoneさん…?と疑問と不安を抱きながら、「St.Petersにもこういう場所あるからもう少し歩いてみよう」、と自分に言い聞かせてもう少し歩いてみる。

「あ、あった、あった」

数分歩き続けると突如として現れた醸造所。
というか看板も特になくて、通り過ぎそうになった建物の入り口の扉に大きくペイントされたOnedropのロゴを見つけて気づいたのだった。

醸造所の近くまで行くとマッシングしているモルトの香りなんかで分かりそうなものだけど、この日は特に匂いはせず、もし向かいの歩道を歩いていたらあまりにも住宅街になじみ過ぎていて素通りしてたかもしれませんね。
車だとゆっくりあたりを確認しながら進んでいないと確実に通り過ぎてしまう。
もし訪れる機会があったらGoogle Mapを疑わずに建物の目の前まで行ってみてください。
扉のペイントで気づくと思います。

開いていた扉から中を覗くと、この日は火曜日の早い時間だったのでさすがにお客さんは1組だけ、初めての撮影だったので人が少なくていいなと思いながら、営業中であることを確認して中へと入っていく。
モノトーンを基調として、色々な植木鉢が置かれているボタニカルな空間。
これは過ごしやすそうだ。と同時に少し緊張しながら足を踏み入れていった。







One Drop Brewingのビールはこのころまだ市内でもあまり出回っておらず、飲むのはこの日が2回目。
実は2019年末のシドニービアフェスで1回目は飲んでいました。

ビアフェスの時は、会場をビール片手に歩いていると雰囲気が良さそうだったのでブースに足を運んだのだけど、その時に雰囲気だけでなく種類の豊富さや実際に飲んだビールの印象がよくて、いつか醸造所へ直接訪れたいと思っていたので、この日は念願の醸造所巡りの1日だったのです。

それにしてもいざ醸造所へ出向いてみると想像していた以上に沢山のビールがある。

入ってすぐにバーカウンターがあり店員さんとあいさつ。
“Hi How Are you?” と声かけてくれるのがなんだかスッと入ってくる。
日本では頻繁に耳にするややかしこまった、機械的な「いらっしゃいませ」ではなくて、顔なじみのお店で「いらっしゃい」とか「こんにちは」なんて気楽に声かけてくれるのに近い感覚。

たくさん種類のあるビール – タップは12種もあり、期待が高まるが気になったので、席へ着く前にまずカウンターへ行きオーダーする。
初めて訪れる醸造所では色々試してみたいのでテイスティングパドルをオーダーすることが多い。
アメリカではフライトなんて呼び方もします。
小さいグラスで数種類のビールの飲み比べができる飲み比べセットのこと。


気づかなかったのだけど、ここの醸造所はパドルがなくて、その代わりにそれぞれのビールに “pony” なんて呼ばれる小さいグラスでの提供もしていたので、それを4種類 – パドルのようにしてオーダーをした。







1 – XPA <Extra Pale Ale> オーストラリアでポピュラーなスタイル、爽快でホッピー、クリアな味わい。
2 – TRIPLE IPA – アルコール度数が高いIPA。
3 – Passionfruit Sour – パッションフルーツを使った酸味の効いたビール 
4 – Mango Milk Shake IPA (Nitro)- 窒素ガスを使いとても滑らかで甘味とマンゴーを感じるIPA


この4種類、ビールという括りの飲み物でありながら、それぞれが個性的な味わいでその奥深さや幅広さを教えてくれます。

きっと普段ビールを飲まない人でも、こんなに違うものなんだと驚くこと間違いなし。

とくにこの日つながっていたMango Milk Shake IPAはなかなかに面白いビール。
シナモンのような香りから始まり、ナイトロ(窒素)で注ぐビールならではのとろける滑らかな舌触りときめ細やかな泡が初めての感覚で終始楽しませて頂きました。
そして、注意すべきがTRIPLE IPA、モルトの甘味をしっかり感じるボディにホップの華やかな香りを持つこのビールはそのアルコール度数とはかけ離れた飲みやすさがある。この飲みやすいとは高アルコールを感じさせない飲み口で、あたかも通常のビールを頂く感覚でするっと胃まで流れていってしまう事。僕は小さいグラスで十分に満足しました、酔いがまわり気分よくなってしまう。


ここの醸造所は2019年に開業して、僕が訪れたのはちょうど1周年記念パーティを行ったばかりの時期。
そんな開業からわずかの醸造所ですでに様々なスタイルのビールが醸造されているから、醸造所のレベルの高さと勢いを感じた。シドニーには多数の醸造所があるけれども、定番のビールを売り続けていたり、新しい味わいのビールを次々と送り出している場所だったりと、広義でとらえれば同じビール作りでも、それぞれの考え方、表現の仕方で、どのビールも個性豊かで多種多様であることに気づかされると同時にそれぞれの醸造所の個性や誇りを感じる。

席についてビールの見た目、香りを確認してすすりはじめる。
そして、カメラの前で一人でぶつぶつとしゃべる、初めての撮影はその繰り返し。
客観的にこの姿を思い浮かべ「滑稽だな」と思いつつも。
ビール、そしてカメラと向き合いながら時間をかけて味わいの違いを楽しみグラスを空にしていく。

グラスが空になったところで、次はさっぱりとしたビールを注文しに再びカウンターへ向かう。
この時点ですでにほろ酔い、いい休日だ。








気さくで親しみやすい兄さんの店員にラガーのオススメをきいてみる。
ノースリーブのブルワリーロゴ入りのシャツに、日焼けした腕、いかにもなオージースタイル。

ラガーは日本で一番出回っている飲みなれたビールの種類。
ラガー酵母を使って醸造したビールの事で、キリンラガーやスーパードライ、サッポロ黒ラベル、これらは全部ラガービールです。
TAPリストを見るとラガーが2種類、この兄さんは即答でMexican Lagerをオススメしてくれたので、それをスクーナーでもらう。
なんでもリリースしたてのビールで、まだ発売から4日のとてもフレッシュな状態らしい。
いいタイミングだった。

少し小腹がすいたのでついでにチップスも注文。

オーストラリアのチップスで一番好きなフレーバー、ソルト&ビネガーがあったので迷うことなく頂きました。
酸味と塩の組み合わせは美味い、かなり甘味もあったと思う。
この味に限った事ではなく、基本的に塩気が濃いので決して身体にいい気はしないけど、ビールと合わせるとすすんでしまう。

Mexican Lagerはというと、まずは外見がすばらしく美しい。
黄金色の透き通った濁りのないビール。
飲んでみるとドライでキレがあり、飲み込むとモルトの少し香ばしく甘い味わいが余韻に残る。
ちょうど期待していた通りの味わいで、ビールを飲んではチップスに手を伸ばし、またビールを飲みチップスを食べる。
すぐにグラスもお皿も空になってしまった。








気づくとすでに最初のお客さんは帰ったらしくて貸し切りで楽しませてもらっていた。
それほど量を飲んだわけではないけど5種類も飲んで十分に楽しんだので、また来ようと思い帰路につく。
この時、休日を満喫していい気分になっていたので撮れ高の事はまったく気にしていなかったな。
動画を編集するときにようやくどんな感じで取れているのか見返したぐらい無頓着な撮影でした。

醸造所を出ると、来た時の不安はどこへやら、来た道をそのまま戻りバスの停留所へ。
これまたバスで帰った事は覚えてるんだけど、家路についてからの景色の記憶が全くない。
実は結構酔っていたのかなと今更ながら少し焦る。

帰国から早くも1年が経過する中、あれから彼らはどんどん新しいビールをリリースし続けていて、
気になる、というか飲みたい衝動に駆られることが多々あります。
缶のパッケージも以前よりもなかなか手の込んだイラストになっていてかっこいい。
気になる方は彼らのInstagramもチェックしてみてください。

数年前まではシドニーでの生活がバケットリストの一つにあり、それが叶って一度チェックを入れたはずなのに、
帰国したら今度はシドニーへの再訪がバケットリストに追加された。

まあでもそれだけ素晴らしい場所と貴重な経験だったのだから。
また訪れる日を楽しみにして、今はパンデミックの終焉を思いながら充電期間ということで毎日を暮らしていく。

これはシドニーで過ごしたビールのある生活のほんの一部。

第一話 One Drop Brewing 訪問はここまで


Botany地区周辺地図


ONE DROP BREWING Co. – Snaps of the brewery

KEEP IT FLOWING
醸造タンクと熟成樽
醸造所前の通りと左手に見えるのが入口
壁にはオーストラリアの夕焼けが

ONE DROP BREWING Co.

Yasinski – Instagram

Yasinski YouTube Channel – ONE DROP BREWING Co.


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