シドニーで過ごしたビールのある生活の五話目。
ブルワリーホッピングと僕自身のワーキングホリデーでの日々のエッセイ。
今回はシドニーから離れてニューカッスルへ訪れたときの話。
マスクのある生活を始めてからもう二年以上が経過。出口が見えたかと思いきや第七波で感染爆発。
感染拡大といいつつ段々と意識は薄れ、感染者数は多けれども当初ほどの衝撃はなくリアルさがあまり実感できない。いつまでこの状態が続くのか、行動制限は徐々に緩くなってきていますが、一日も早く何の気なしに旅を楽しめる生活をしたいものですね。エッセイを当時を振り返りながらつらつら書き、写真を見ているとそんな気分にどうしてもなってしまう。いずれにしても今は動ける時に行ける場所へ行き、写真を撮って生きていきたい。
話は変わりますが、先日年一回の健康診断で肝臓の数値が悪く、しばらく断酒を決行することに。すでに二週間続けておりますが、やはりビールが飲みたい。暑い夏のビールの美味さを知るとビールのない夏は楽しみを一つ失ったような感じでなかなかにつらいですね。しかし健康ありきですから、今年はしばらくお酒を控え暮らしていきますよ。そんな暮らしぶりについてもブログの中で書いていこうかな。
救いだったのはコーヒーの存在、今年は今以上にコーヒーのある生活になるでしょう。何事も摂取しすぎはよくないのでこちらもほどほどにしながらね。
05ー1
From Sydney to New Castle
ワーキングホリデーでシドニー滞在中に宿泊を伴う旅はこの時が最初で最後だったか。渡豪してからは仕事に追われる日々でしたが、連休ということもあり、当日ニューカッスルまで行ってみようかなと勢いで旅にでて、せっかく足を運んだから泊まってみようかというその日の気分で滞在を決めました。更には夏真っ盛りの中だったのでビーチにも行きたいという欲張りな思いもあり、とにかく無理やりやりたい事を詰め込んだ旅となったのでした。
第四話までは主にブルワリーを巡るだったけど、今回は旅行記。無論ビールは楽しみましたが。
旅のスタートは僕らの住んでいたPrincess Highway にあるアパートから。朝、少し旧式のデジタル一眼を持って旅はスタート。本当は遠出するつもりはなくて、特に行先も決めずに始まった一日。一番最寄のSyndenham駅から電車に乗ってまずはシドニーのハブステーションであるCetnral駅へ。
ここまでは至っていつも通り、通勤でもよく使っていたんです。
セントラルのそばにはチャイナタウンやコリアンストリートがあって、割とアジアンな料理が手ごろにすぐ食べられてよかった。
とかいいながら、実は実際にご飯食べにこのお店へ行ったのは初めてでした。
目当ては朝粥、評判がいい中華料理屋で、粥のメニューは自分で選ぶスタイル。美味そうなイカとエビが並んでいたのでエビの粥にすることに。数ヶ月でも海外で過ごすと味噌汁とかお粥の優しい味わいが時々無性にほしくなるんですね。
休日の朝からやさしくて満たされる食事だった。
久々にお粥を食べて腹も膨らんだので、チャイナタウンから駅へ向けて歩く。シドニーの街の中心。
当時の職場や渡豪してから数日宿泊していたバックパッカーズとも近くて、前々から気になっていたいコーヒースタンドへ行ってみることに。 そこは本業はイタリアンのレストランで朝と午後のカフェタイムには角でコーヒースタンドを営業しているスタイルのお店。長い時間電車に乗る事になるのでコーヒーとマフィンをグラブ。
マフィンはショーケースに入っていた数種類ある中からチョイス。
買う前からわかっていましたが、マフィンがでかい。
何を見てもそうなんですが、海外での生活ではサイズの違いに戸惑うことが多い。日本は食べ物に限らず、ちょうどいいサイズの物が多いですよね。やはり地球規模で見れば、あまり大きいわけではなく、火山が多い島国に一億人を超える人が住んでいるのだから自然とスペースを考えたサイズ感の物が生まれているんだろうな。もちろんそれが日本ならではで、いい点であることは間違いないのですが、時々海外のこのサイズ感の物が食べたくなるんですよね。
そりゃ朝これ一つ食べれば半日動けるよね、というサイズと食べ応え。かじればカロリーと当分の塊であることがわかる。
どうなってるんでしょうここの人たちは、こんなの朝から食べて胃がもたれないものなのか、不思議です。慣れなんですかね。
ある時、カナダ出身の友人に、なんで朝からバターたっぷりのパンケーキとかブレッキー食べれるんだい?と聞いたことがある。その時の彼の回答は、逆になんで日本人は朝からごはんを茶碗一杯と味噌汁、魚や納豆とかコースのような食事を食べれるの?白米の方がよっぽど重くない?と言われて、うむ、確かに日本のいわゆる典型的なモーニングだって相当な食べ応えだよな。と納得させられたことがあります。
ただやはり甘くてバターの強いおっきなマフィンというのはやはり胃にきますね。身体はやはり日本の朝食の方がしっくりくるんだと思います。
マフィンを持ってカフェラテを持ったら旅のスタート。
再びセントラルへ行き、いやミュージアム駅だったか。どちらから電車に乗ったかはよく覚えていませんが、意気揚々とニューカッスルへ向けて出発。三時間の電車の旅。
電車の中で特段何かをしたということはないのだけど、やはり新しく訪れる場所へ向かう途中は景色を見ているだけで楽しい。行く途中に湖があって、これはどこだ、今僕はどこにいるんだ? GoogleMapを開いて、今ここまで来たか、この地図のこの場所は想像と全然違うな。ここで暮らしている人たちは何をしているんだろう、こんなところに駅があるけど使う人いるのか。とかいろいろ想いを巡らせるのが楽しい。
ニューカッスルについても少し調べる。
ビアバーがある事と、ビーチのそばのビジネスホテルに運よく空きがあったので早速booking.comで予約を取る。二時間ほど経過してからかな、新たな目的地が決まって期待が高まる中ショッキングな光景が目に入ってきた。
渡豪した2019年から20年にかけてはブッシュファイアがひどくシドニーのあるNSW州でもかなりの被害が出ていた。電車から景色を眺めていると、根本が焼け焦げた森が見えてきたんです。
最初は枯れているのかなと思っていたら近づくにつれて幹が真っ黒に焦げているのが見えてきて、改めてブッシュファイアのすさまじさを見せつけられた。
生きている木ですら焦げてしまう。
火を起こした経験がある人は容易に想像がつくかと思いますが、水分の含んでいる木や葉に火をつけようとしてもそう簡単につくものではありません、ものすごい火力で燃え広がっているんだとコントロールしようのない自然の力をあらためて見せつけられました。
ブッシュファイアのすさまじさを見せつけられて間もなく、景色は徐々に森から街へと変わっていきニューカッスルへ到着。三時間の電車の旅が終わる。
シドニーでグラブして電車へ持ち込んだマフィンはどっしりとした生地と甘いチョコレートでラテとよく合う。おかげさまで電車旅は景色を楽しみながら美味いコーヒーとスイーツで大変贅沢な時間を過ごすことができました。今でもあのマフィンは無性に食べたくなるんですが、ここ日本では全くお目にかかれないんですよね。
列車が止まると終点だからニューカッスルの駅で乗車していた人々が次々と降りていく。次々と言っても降りる人そんなに多くはないんですが、忙しなさとは無縁の駅構内、ゆったりとしていていい。駅から出てみるとここにも早速ライトレールがあるではありませんか。調べてみるとビーチへ向けて一直線に走っています。なんて観光客フレンドリーな街の造りなんだこと。
しかもホテルはライトレールの終点のちょっと先、ビアバーはその途中にあるもんだから移動に使うエネルギーが最小限で済むからありがたい。
早速ライトレールに乗り込む。ここもNSWなので交通系ICカード Opal card が使えるから乗り方とか全く気にせずいつもの感覚で乗れるから気が楽だ。旅ではいつもと違うということが楽しさにつながるんだけど、一泊二日のような時間があまりない場合は効率よく動ける方が大事な要素。移動手段で苦労しないという点は結構重要。
The GRAIN STORE
ホテルへ向かう途中にあるビアバーが最初の目的地。The GRAIN STOREというバーです。
オレンジのレンガ造りの建物、足を踏み入れるとそこには壁から沢山のタップが出ている。どうやら常時20タップがつながっている。店内にはタップリスト:つながっているビールのリストが液晶画面に表示されているので、どんなラインナップなのかまずは見てみる。
それにしてもビアバーというだけあって、オーナーのビール好きっぷりがよく表れている。オーストラリア中のブルワリーのステッカーが壁一面に貼ってあったり(端から好きなブルワリーのステッカーがないか見てしまう。)あとは壁のイラストがいい。
僕が言うのもなんですが、ここのオーナーはビールよっぽど好きなんだろうなと。
というわけで僕もせっかくなんで写真を撮らせていただきました。いいでしょ、大酒のみです。
お昼すぎでまだまだこれから動くので、とりあえずフライトを。なにせ20タップもあるもんだから、その中で一種類だけなんて選べませんよ。フライトは五種類でAUD14だったかな。写真で見返しても5種類何を選んだのか全く覚えてないんですが、フライトと別でオーダーしたサイダーがドライでキレがよく、また甘さが控えめでとてもうまかったんです。なんでもワインで有名なハンターバレー(ニューカッスルからは直線距離で数十キロという近さ)で醸造されているサイダーらしく、少しドライな白ワインを彷彿とさせる味わいでした。この旅で飲んだビールとサイダーの中では一番印象に残っています。人生でまた飲みたいサイダーの一つ。ペアリングにはオニオンリング、やっぱりつまみはフィッシュアンドチップスやオニオンリングなど揚げ物がどうしても多くなってしまう。困ったもんです。しっかりと食事をするよりもエネルギー補給しちゃってますからね。
平日だったこともあり店内は落ち着いていました。ここのお店はバーというよりはダイナーとかに近い感じ、ソファやテーブル席が沢山あって、ボードゲームも充実。週末にビール飲みながらボードゲームをする、なんていう情景が目に浮かびます。楽しいだろうな。
最後には旅の記念にお店のグラスを購入。割れないか心配でしたが無事に日本まで持ち帰り、帰国してからもビール専用グラスとして活躍しておりますよ。
グラスのお土産を手にし、お酒も少し入って浮かれ気分でホテルのチェックインへと向かう。浮かれつつも頭の中には不安がよぎる。なんせ当日ブッキングしたのでホテルが取れているかという不安。ハネムーンでシドニーを訪れた時ホテルが取れておらず、ディナークルーズの直前で時間がない中事情を色々説明しなければいけなくて面倒だった。今回も同じ目にあうのはごめんだな、なんて思っていました。結果なんてことなく無事にチェックインできたのでよかったんですが、あっさりすぎてなんだかちょっと物足りないと感じてしまったのはここだけの話。
ホテルへはバーからわずか二ブロック、ビーチも歩いて数分という結構いいロケーションで、当日予約にしては良い場所のホテルが取れた。入ってみるとあまりぱっとしない感じのビジネスホテルのようで、人気もあまりなくてちょっと心配になりました。
部屋は3階のかなり奥まった部屋で、少し薄暗い通路を抜けたところにあったっけ。ビーチビューだったかは全く思い出せません、覚えているのはタイル張りの古いバスルームと奥まって薄暗い部屋だったことぐらい。なんせ、荷物を置いたらすぐに出かけたし、翌日は朝陽を見るために5時くらいには部屋から出ていったのであまり記憶に残っていないんですよね。なにはともあれビーチのそばで泊まれる手ごろな価格のホテルという点で僕らには十分でした。
この日は気の赴くままにニューカッスルまできたものですから本当に手ぶらで来てしまった。特にビーチ以外に行く場所も下調べしていなかったので、まずはホテルの周りのビーチを少し散策。ビーチの空気と潮風を浴びると、心が満たされる、潮風はちょっとべとっとしてあまり気持ちがいいとは言えませんが。
水着も何もないので、とりあえず最寄りのKマートへ現地調達しに行くことへ。最寄と言ってもこれが意外と遠くて、ライトレールとバスを乗り継いで行かなきゃいけなかった。でも、このノープランな感じで街の様々な場所を移動してみるというのが性に合っている。急ぐわけでもなく、バスに乗り知らない街の外を眺めながら、ここで暮らしている人たちはどんな生活をしているのかと想像を膨らませながら移動をする。そうなると移動の一瞬一瞬が不思議と楽しい。
KマートがあるのはWaratahという地区、いかにも郊外のショッピングセンターという感じ、大手スーパーで赤いロゴの coles と Kマート、Red roosterというファストフードレストランが一区画に集まっている。日本でもよく見るスーパー+ホームセンター+レストランといったショッピングセンター。どこにでもあるから特に目新しいものはないんですが、水着とビーチサンダルを見つけたので購入。いくらだったかな、覚えてないけどかなり安かった。デザインはシンプルで無駄がなくていいんだけど、サンダルは履き心地が非常に悪くてとてもビーチ以外ではける代物ではなかった。安いからという理由だけで購入。そういう選択をすることが、使い捨て、大量消費のサイクルを作ってしまっている。作る側はもちろん、買う側:消費者も安い理由を考えながら本当に買うべきか選択をしなければいけない。ビーチサンダル買ってからそんなことを考えていた。
Kマートを後にし再びバスでビーチ方面へと戻る。もう陽が沈みかけている。
バスを降りる。平日の夜、ニューカッスルでは歩いている人は多くない。シドニーの中心部とは違い、地方の都市ではやはり車社会だ。これだけ広い国土で、道も大きく、移動距離が長いとなれば移動手段が車になるのは必然ですね。
すっかり陽も沈み、一日移動し続けていて疲れたのでディナーを取れる場所を探し歩き始める。ホテルへ向かう途中の道ではレストランらしきものが見当たらなかったような気がしたので、最終的に近くにあったショッピングセンターにある中華でディナーを。
朝チャイナタウンでお粥を食べたのに、また中華を。そんなに意識はしてないんですが、やっぱり中華好きなんですね。水餃子、炒飯、ラーメン、という王道だけどとてもヴォリューミーな組み合わせ。中華はどこの街に行ってもあるので欧米文化の食事はちょっと気が乗らない、という時の強い味方です。
翌日は朝陽を見るために早起きなのでディナーを食べ終えて休むことに。
移動が多くて結構歩いたのでいい疲労感、朝ニューカッスルを目指してからわずか半日。普段の生活の中で考えればごくわずかな時間ですが、知らない土地に足を運んでその土地での人々や生活に想いを馳せ、見たことのない景色を眺めればわずか半日でも忘れがたい経験になるものです。
翌日はこの旅の醍醐味でもある太平洋の朝陽が待っている。
第五話、ニューカッスルへの旅(前編)はここまで、後編はコチラから。
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ワーキングホリデーで過ごしたシドニーでビールのあるの生活のエッセイ。
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