-第二話-【クラフトビールを求めて】シドニーで過ごしたビールのある生活

シドニー

シドニーで過ごしたビールのある生活の2話目。
ブルワリーホッピングと僕自身のワーキングホリデーでの日々のエッセイ。
これからシドニーへ訪れる人、今住んでいる人、誰かがブルワリーを訪れるきっかけになるだろうか。

少なくとも僕自身はまた訪れることができる日を想いながら書き綴っています。
実際はキーボードをたたいているから書き綴るという表現には違和感はあるのだけど。
なにはともあれ一日も早くまた以前のようにグラスを掲げ乾杯ができる日々を夢見て。


02


ROCKS BREWING Co.

住んでいたSt.Petersから意外と近いAlexandria地区。

2019年にワーキングホリデーでシドニーに来る前に旅行で2回オーストラリアには訪れていた。

一回目は2016年のハネムーン。二回目はその翌年にワーキングホリデーの下見がしたくてシドニーに数日間。その時にAlexandria地区にある “The Grounds of Alexandria” で友人と集合し一緒にカフェでブレッキーを食べた。

彼は高校時代に交換留学で僕の母校へやってきて、偶然にも僕のクラスにきたのである。そんな彼とはハネムーンの時にFacebookを通じて感動の再開を果たし、さらに翌年にまた再会し、このAlexandria地区でブレッキーを一緒に食べた。
The Grounds of Alexandriaはもともと倉庫だった場所をリノベーションしてCafeやレストラン、ハーブや花などを販売しているマーケットのような場所、あかぬけて洒落ていて、Instagramに投稿したら映えるようなスポットが沢山ある場所だった。ビールには関係ないけれども観光するにはいいかもしれない。

そんな思い出もあり個人的に思い入れの深い場所だったので、そんな地区にブルワリーがあるなら行かないという選択肢はなかった。

とにもかくにも訪れたかったブルワリーの一つ。

初めて行った時はOne Dropへ訪れた時と同じで、「本当にこんなところにブルワリーなんてあるんですか?」という周辺の雰囲気。


でも、わからないものですね。

行ってみればやっぱりそこにありました。

訪れる時間が夕方近いこともあってか、マッシングのときのモルトの香りもそこまでしないからなかなか通りがかりでは気付かないんですよね。
もともと工業地帯であまり人通りと車通りがそこまで多くないこともあり落ち着いた場所なんです。

その頃住んでいたボーディングハウスからは自転車で15分くらい。

GumtreeでAUD40(当時のレートだと\3000くらいだったかな)でフランス人から譲ってもらった愛車(自転車)にまたがり目的地アレクサンドリア地区へと向かう。
家の前の大通りを上り、新しく工事が行われている幹線道路の下り坂を駆け抜けるとすぐに工業地区へと入る。
シドニーは自転車に乗ると意外とアップダウンが多くてよく息を切らして漕いだ。もう漕ぐのが嫌になったときはよく自転車とともに電車に乗って帰ったものだ。(シドニーの電車は自転車の持ち込みが普通にできるんです。便利だったなぁ。)

部屋探しの時に滞在していたホステルに心配で自転車を持ち込んでいたこともあった。


工業地区へ入って数分漕ぐと大きな建物が目の前に。自転車を置いて、階段を上ると目の前にテラス席が広がる。奥に目をやるとタップと大きなタンクが何個もあることに気付く。
異国の地で期待を胸に初めて訪れる場所。足を踏み入れた瞬間の感覚は大人になって忘れていた子供の頃の感覚を甦らせる。目の前に期待を超える景色が広がるもんだからうれしくなるんですよ。


外のテラス席では犬連れのお客さんもいて、ビールを飲む主人を横目に大人しく佇んでいたっけ。

アメリカやオーストラリアではブルワリーでよく犬を見かけるし、心が和むので犬とビールが一緒にある風景は好きです。

ここではないんですが、休みと知らずに入っていったブルワリーのタップルームで犬が1番最初に出てきたこともありました。
来るなと言わんばかりに吠え続ける犬、すると奥からブルワーが出てきて「今日は残念ながらタップルームは休みなんだよ。」とマイペースに出てきたんだよね。 
入口が開いていて、特にサインもなかったので完全にやってると思いましたよ、とツッコミ入れたくなるような状態なんだけど、残念に思いつつもなぜか笑って許せてしまうんです。オーストラリアではそういう雰囲気というか気張りすぎていないお店が多くて、なんだか妙にうらやましく感じたっけ。

そんなことを思いながら、建物に入ると早速目に入ってくるのは、左手にある大きなタンクの列。建物自体がかなり大きかったから、シドニーに沢山あるブルワリーの中でも規模が大きい方なのだろう。実際、他のブルワリーのビールのカンニングも委託で受けていたので事実大きいのでしょう。

正面を見るとタップリストが大きく掲示。 

20TAPあり、一目見ただけで、種類豊富だなとわかる。自社のビールだけでなく、ゲストのビールも何種類か繋がっていて、オススメを聞いてみたり、フライトはある?なんてまずは聞いてみたりする。注文するまでのビールを選んだり、話を聞く時間っていうのが実は一番ワクワクしてるのかもしれない。
さらにうれしかったのは缶にタップビールを詰めて持ち帰り用に購入できる*クラウラーがあったんです。帰り際に何買おうかなとか飲む前から考えちゃいました。
*クラウラー:ドラフトビールをその場で缶に詰めてもらい持ち帰れるシステム。


一目でわかるラインナップの豊富さ



オススメを聞きつつ、いくつか種類を飲みたかったのでフライトを。

3種類のビールが選べたのでIPA、NEIPA、STOUTにしました。
NEIPAはアメリカのSHIPYARD Brewing とのコラボビール。STOUTはバレルエイジでなかなかにパンチのあるやつです。

ビールを飲みに行くとやはり何か一緒にフードも欲しくなるのでメニューを見てみると…嬉しいラインナップ。

ハンバーガー、サンドイッチにラップ。迷うんだけども、やはりハンバーガーに落ち着く。バンズはともかく、パテのボリューム感がいい。日本で食べるハンバーガーは肉のジューシーさやソースへのこだわりが強く繊細な味わいのものが多いけど、海外でよくあるのはヘビーで食べ応えのある肉、大胆な味わいというものが多いように感じる。あくまで傾向ですが。どちらのタイプも美味しいんだけど、やっぱり日本にずっといると大胆でシンプルなハンバーガー食べたくなるんですよね。


テイスティングパドルを持って開放的なテラス席へ腰を下ろす。夏の午後、ゆるく時間を気にせず外の空気をすいながらビールを味わう。お店の奥ではスタッフが話しながらも手際よくビールを注いでいて活気がある。

ここもまた空港に近いので頭上を飛んでいく飛行機を眺めたり、周りのまだ見慣れない景色を楽しみながら過ごす。空を見上げれば日本にはない青い空、日本に帰ってきてから空を眺めてみても、シドニーやカリフォルニアで見た真っ青な青空はお目にかかれないんだよな。

テイスティングパドルにフレンチフライ




ここのIPA、NEIPAはともに綺麗なビールでNEIPAも思いの外濁りはあまりない。トロピカルでホッピーというよりはモルトの甘味を感じるボディとホップの苦味と余韻が楽しめるビール。スタウトはダークチョコレートをかじったかのような香りとほろ苦さ、樽熟成独特の渋さを感じる香りと味わい。美味いじゃないか。

ここでもまた、ビールっていうのはなかなかに楽しい飲み物だな、なんてそれぞれの違いや奥行きを味わいながら思う。きっと知らなければよく冷えてゴクリとのどを鳴らすように流し込むアルコールという認識でしかないんだけど、それってもったいないなぁ、ワインだって色々な味わいや種類があるようにビールにだって色々あるんですよ。作り手ではないんだけれどもビールを好きな者として主張していきたい。


ハンバーガーとチップスを食べながらIPAとNEIPAを飲み比べ、〆はインペリアルスタウトをゆっくりと愉しむ。

気づけば夕暮れ時。腹はすっかり膨れ、インペリアルスタウトで気持ちよく酔っぱらい完全に出来上がってしまった。クラウラーでビールの持ち帰りもできるから、帰り際に一本買っていく。かつてない贅沢な休日の午後の過ごし方の一つだったのです。

あれパドルにスタウトがない…と思ったら、この写真は別日に訪れた時の写真。



作り手のいる場所を訪れてみると、そこで醸られたビールはさらに特別なものへと変化する。ビールの味わいだけでなくて自分の中での経験がビールを手に取るきっかけになるよね。

昼下がりから心地よく酔ってしまったので、酔いをさましながら夜風にあたり帰路につく。帰りは来た道とは違う道から回り込むように帰る、アレクサンドリアから空港方面のマスコットへ向かう。マスコットの駅そばにWoolworth(オーストラリアの大手スーパー:オージーはウーリーなんて言うのかな)があるので、ちょっとしたものを買うのに寄って帰るんです。


もう何買ったかは覚えてないんだけど、パンとかスナックとか見てたっけな。

さてシドニーで過ごしたビールのある生活、第2話Rocks Brewing訪問はここまで。


Alexandria地区周辺地図

 


ROCKS BREWING Co. – Snaps of the brewery


ROCKS BREWING Co. – Instagram

Yasinski – Instagram


ワーキングホリデーで過ごしたシドニーでビールのあるの生活のエッセイ。
バックナンバーは下記リンクからどうぞ。

第一話:ONE DROP BREWING Co.

コメント